狂騒家たちの大ティスティング週間② inイタリア、ドイツ
『大ティスティング週間② inイタリア』

イタリア最大のワイン国際見本市「ヴィニタリー」
出展企業3000以上、来場者は15万人以上にものぼります。

と、とにかくスケールが大きい!!
日本で行われる食の祭典「FOODEX」のざっと5倍以上といえば
感じがつかめますか?

ワイン狂騒家たちは、ただワインのことのみを考えて
日がな一日この広大なヴィニタリー会場を歩きまわるのです。

会場のなかで以前から
お付き合いのあったワイナリーさんとも会いました。

複数のワイナリーを訪ねようと思ったら
イタリア全土を縦断しなければなりませんが、
ヴィニタリー開催中は何分か歩いて彼らのブースに行くことで
会うことが出来ます。
ワイン狂騒家たちにとってはそれが利点です。


写真:生産者MAGLIANOとワイン

この2本のワインは近い将来間違いなく、
スーパートスカーナとかイタリアのカルトワイン
(この言葉は1本ウン万円はするカリフォルニアワインのために造られた言葉ですが)
と言われるようになると思います。
「2004ポッジョベスティアーレ」(メルロ45%、カベルネソーヴィニヨン35%、カベルネフラン20%)と
「2004ペレンツォ」(シラー100%)です。

こんな濃厚な赤ワインはなかなか飲めない。
にもかかわらずまろやかな後味で見事なバランス。
とにかく果実味がものスゴイ!!

こんなスゴイ造り手さんとお付き合いしていたことに
本当に感謝する思いでした。
(成城石井では現在ともに2003年ヴィンテージをお取り扱いしております。)

また、ここで以前からお付き合いのあった
GIRARDI社の社長トマージさんとも会いました。

このワイナリーが造る
「2005ソアヴェクラシコ(イタリア白ワインの代表的銘柄)」
(成城石井では現在2004年を販売中)は
ブドウの完熟感とフレッシュなはつらつ感がしっかり出ていて
バツグンに美味かった!
世界ナンバーワンのソアヴェといっても言いすぎではありません。

さらに紹介したいワインが1本あります。
ヴィニタリーが終わったある夕方
「オレのワイナリーに来るか」と自慢げにいうので、お邪魔しました。


写真:トマージさんと貯蔵樽

数字をごらんください。1902年製の貯蔵樽です。
この樽から「2001アマローネディヴァルポリチェラ」
(成城石井では現在2000年を販売中)
をグラスいっぱいに注いで飲ませてくれたのです。

口に含んだ瞬間、ふくよかな芳香が口いっぱいに広がりました。
ついトマージさんの方を見ると誇らしげな顔をしています。


「ヴェローナの宝石」とまで敬意を払って呼ばれるアマローネワインは、
ブドウを収穫後に陰干しして糖度を高めた後
醗酵させてつくるワインで、
独特の甘苦い風味がするといわれています。

しかしトマージさんのこのアマローネは
苦さの部分より甘みと樽の香り(そうです、1902年製の樽の香りです)
とくに感じました。

「最近の樽は隙間が多くてスカスカしている気がする。
この樽がうちで一番しっかりした樽なんだよ」

とはトマージさんの弁。
私は「これが伝統の味だ」と思いました。


『大ティスティング週間③ in終着駅・ドイツ』

ドイツ・モーゼルのブドウ畑で面白いものを発見しました。


写真:ブドウ畑/モーゼル

ブドウの木で作っているのは何の形だと思いますか?
ハートの形です。

最近では作らなくなったブドウ畑もあるそうですが、
縁起をかついでハートを作るのだそうです。
チャーミングですね。
こういう愛情をかけて造られるワインは
本当に美味しいんだろうなと想像できます。

ワイン狂騒家たちのティステイング週間の終着駅は、
ここドイツはモーゼルです。
フランス、イタリア、ドイツの造り手たちをとおして感じ続けたのが、
この「ワインへの愛情」でした。

最後に、この愛情が350年以上変わらずに続くワイナリー
紹介したいと思います。

ドクター・ターニッシュ家です。

ターニッシュ家には1650年創業時代の伝説があります。
それは、ドイツ中世において、トリアーの司教が重病におちいった時、
ターニッシュ家のワインを飲んで奇跡的に健康を取り戻した、というもの。喜んだ司教から「ドクター」の尊称を贈られたとのことです。


写真:ドクター・ターニッシュ伝説銅像

イチ押しワインは2005ベルンカステラー ドクトール・リースリング・シュペトレーゼ

このワインは甘口なだけではなく、
きれいな酸のおかげで非常に完成度の高いものに仕上がっています。
まったく雑味のない華やかな味わいはまさに奇跡の味わい、
ドイツワイン最高峰のレベル
といってもよいでしょう。

ここまで洗練されたレベルのワインを造るメーカーは
ドイツ中探してもまずいません。
特に2005年産のワインは糖の乗りが素晴らしく、
コクのある余韻がいつまでも楽しめました。

成城石井では2006年夏以降に入荷する予定です。

このずば抜けた品質のドイツワインをデザートワインがわりに味わって、
2週間近くにわたる大ティスティング週間も幕を閉じることになりました。

成城石井の店頭で並ぶワインに、
もっともっと感動を味わっていただくために、
今後も造り手たちのワインへの愛情を伝えなければ!
とティスティング週間中何度も感じました。

四六時中ワインのことを考え、
本当に美味しいワインを探し続けることこそ
ワイン狂騒家の使命だからです。