頑固親父と聖母マリア様
こんにちは。酒販課バイヤーの柿野です。
今回は非常に興味深いあるシャトー(というよりひとりの頑固オヤジ)を紹介したいと思います。

5月にワインの買付けに行った際(アトレ恵比寿店酒担当大野君も同行しました)、
アントルドゥメールに立ち寄ることになりました。

アントルドゥメールは白ワインの一大産地として知られています。
ボルドー郊外から車で向かうこと30分強、
その小さなシャトーはありました。
というより農家といったほうがわかりやすい
小ぢんまりとした建物でした。



このシャトーのワインを試飲して美味しいと思ったから、
現地のネゴシアンの方に頼んでわざわざ連れてきてもらったのです。

彼ははじめから饒舌でした。
「テクノロジー?値段が変わるだけだよ」
「手作業に極力こだわり、自然に近い状態で造っている」
「オレはオレのワインつくる」
などなどこだわり?頑固なだけ?

本当はお金をかけていないだけじゃないの!?
と勘ぐりたくなるような
小さな小さなシャトーなのです。



上の写真はワインの貯蔵庫ですが、
空調も定温装置もありません。
一見土蔵??のような感じです。
庫内の温度を聞くと「冬は12℃、夏は18℃」とのことでした。

彼が「ここは通気がいいから問題ないんだよ」と言うので、
「それでも温度が高くなることもありますよね?そのときはどうするんですか?」と訊くと、
「実は20℃をこえるとあそこの装置から警音が出るようになっている」と言うのです。
あ、あかんではないか。
そもそも20℃をこえるような状況が出来ていては・・・。
すかさず大野(アトレ恵比寿店酒担当)が質問します。
「20℃になったらどうするんですか?」
オヤジ「水をまくんだよ」
私と大野「・・・。」
オヤジ「でも実はあまり温度に気を使ってはいない」
私と大野「・・・。」
オヤジ「機械も殺虫剤もあまり使わない。テクノロジーはよくない。なるべく自然な状態がいいんだよ」
私「減農薬だったり手作業だったりは素晴らしいと思うのですが、温度に気を使わないのはどうかと・・・」
オヤジ「君は私のワインを飲んだ。美味しいと言った。それでいいじゃないか。今君は温度のことを言っている。この美味しいワインに何か関係あるのか」
私「いいワインだと思いますが、こういう保管状態では仕入れは難しいです」

そのあとも幾つか質問をしましたが、
頑固オヤジは基本的に人の話を聞きません。
私は一方的にまくしたてられている気分でしたが、
大野に言わせると「喧嘩している」ように見えたそうです。



情熱あふれるこの男、
ゆったりとして温和そうな好紳士・・・に見えますが、
なかなか人の話を聞こうとしないのです。
でもこういう雰囲気を出せる男は家庭を大事にします。

マドリスという白ワインがあります。



Madlys(マドリス)の名前の由来は

MADolen(マディリーヌ/奥さんの名前)
Lowrence(ローランス/お嬢さんの名前)
Yonniek(ヤニック/息子の名前)
Sterphawan(ステファン/頑固親父)

のそれぞれ頭文字をとったもの。


このワインは頑固親父の造るスペシャルキュヴェ。
8/17(木)より成城石井各店で販売を開始します!
店頭価格1990円です。
樽香が豊かで心地よく恍惚となるほど上品な味わいが楽しめます。
今回このマドリスをはじめ、

CHサントマリールージュ(1490円)
CHサントマリーブラン(1490円)


も8/17(木)より成城石井各店で販売を開始します!
CHサントマリールージュは
ジューシー感ある果実の甘さと厚みのあるコクのバランスが最高。
パリコンクールで金賞も受賞した実力派です。


CHサントマリーブランは
爽やかな味わいと柑橘類の香りが素晴らしい。
白ワインの一大産地アントル・ドゥ・メールの中でも秀逸の出来。



どのワインも頑固オヤジが熱弁を振るうだけあって味は確か。
今年だけのスポット販売の予定です。
彼のひたむきで力強い情熱は買いますが、
やはり温度管理がちょっと怖い・・・。

今回入荷分は夏前の5月買付け時にティスティング後すぐオーダーして、
船便定温輸送した商品なのでまったく問題ありません。
来年続けるかどうかは頑固オヤジの心がけ次第!?

そうでした、
シャトー名の「サントマリー」は
醸造所の一隅に飾られた聖母マリア様が由来です。



「オレはオレのワインを造る」
と本当に人の話を聞かない頑ななオヤジさんも、
神様の前では素直になるのだろうか?
などと思ってしまいました。